Classiques japonais avec furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lisez 死者の書 (ししゃのしょ) de 折口 信夫 (おりくちしのぶ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 62 340 caractères · 126 écrans
十二
おとといの日の入り方、山の端に見た輝きが、思わずには居られなかったからである。
また一時、廬堂を廻って、音するものもなかった。日は段々闌けて、小昼の温みが、ほの暗い郎女の居処にも、ほっとりと感じられて来た。
寺の奴が、三四人先に立って、僧綱が五六人、其に、大勢の所化たちのとり捲いた一群れが、廬へ来た。
これが、古山田寺だ、と申します。
勿体ぶった、しわがれ声が聞えて来た。
そんな事は、どうでも――。まず、郎女さまを――。
噛みつくようにあせって居る家長老額田部子古のがなり声がした。
同時に、表戸は引き剥がされ、其に隣った、幾つかの竪薦をひきちぎる音がした。
ずうと這い寄って来た身狭乳母は、郎女の前に居たけを聳かして、掩いになった。外光の直射を防ぐ為と、一つは、男たちの前、殊には、庶民の目に、貴人の姿を暴すまい、とするのであろう。伴に立って来た家人の一人が、大きな木の叉枝をへし折って来た。そうして、旅用意の巻帛を、幾垂れか、其場で之に結び下げた。其を牀につきさして、即座の竪帷―几帳―は調った。乳母は、其前に座を占めたまま、何時までも動かなかった。
十二
怒りの滝のようになった額田部子古は、奈良に還って、公に訴えると言い出した。