Classiques japonais avec furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lisez 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 815 caractères · 99 écrans
道具らしい物は小さな古い茶箪笥と箱膳、火鉢と炭取だけで、ほかの物は戸納へでもしまってあるのか、眼につく物はなにもないし、掃除もよくゆきとどいていた。なかなかしゃれたものだ、この部屋で飲みながら話すのに、味噌だけが肴というのは平仄が合っている、さすがに旗本くずれだな、と安宅は思った。
「おりうは自分が女だということを、しんそこいやらしく思っていた、私と会っているときには特に、女として扱われるのを嫌いました」
胸がふくらみはじめたとき、それを切って捨てたかったと、おりうの口から安宅は聞いたことがある。自分の躯に娘らしいまるみがついてくるにつれて、まるで誰かにけがされ、革袋が腐ってでもゆくかのように思えた、とも云っていたようだ。
「私はどうかしておりうに、女らしい気持をよびさまそうとして、できる限りの手をつくしました」と芳村は続けた、「――単に好きだというだけだったら、身をほろぼすまで溺れこみはしなかったかもしれない、だが私の場合はそうではなかった、女として扱われるのはもちろん、女とみられることさえ極端に嫌うおりうの心のしこり、――妄念とでも云ったらいいでしょうか、私はそれにとり憑かれてしまったのです」