Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans

Aozora Bunko

ザワザワと盛り場を歩く人声さえ聞える様だ。まだ宵の内に違いない。

小山の麓に、糸の様な小川が、月の光に、チロチロと輝きながら流れている。アア、水だ。今こそ幻でない本物の水にありついたのだ。

わしは転がる様に、小山を下って、小川の縁へ這い寄った。何という美しい水だ。何という冷い水だ。何というおいしい水だ。

両手で掬うと、手の中で月が躍った。わしはその銀色の月もろとも、甘露の様な水を飲んだ。掬っては飲み掬っては飲み、胃袋が冷たく重くなる程、何杯でも何杯でも飲んだ。

あきるまで水を飲むと、わしは両手で口を拭きながら、川縁にシャンと立上って、遠く町の火を眺めた。

アア、何たる歓喜! わしは今こそ、元の大牟田子爵に返ったのだ。美しい瑠璃子の夫なのだ。才人川村の友達なのだ。そして町第一の名望家として、市民の尊敬を受ける身の上だ。

わしは嘗つて、地獄岩から落ちるまでの、新婚生活の二年間を、この世の極楽だと云ったけれど、今の喜びに比べては、あんなものは何でもない。あれが極楽なら、今の気持は極楽の極楽の極楽だ。

わしは中天の月に向って、胸一杯の歓喜の叫びを上げた。