Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans
……こなたの石にでも」
チリを払って、ひざまずく姿へ、凝視をくれつつ、高氏は腰をおろして、すこしの間、冷静を努めていた。
「……どうも、今夕の誘いといい、そちの口ぶり、腑におちぬがと、いぶかれたが、さては何ぞ、この高氏に、人なき所で話したいことでもあるのか」
「お察しのとおりでござりまする。かねてから、いつかはと、折を窺うておりましたが、もう一日もゆるがせならぬことも降ッて湧きましたので」
「降ッて湧いたとは」
「つい一昨日――八月十七日の夜――南の六波羅ノ探題大仏殿(北条維貞)が、ひそかに鎌倉へ召返され、翌日へわたって、評定衆もごく限られたお内輪のみで、密々の御協議、ただならぬ態にみえまする」
「……して?」
「仔細は、窺いえませんが、どうやら、宮廷の若公卿や一味の武者輩のうごきについて、六波羅にても、はや捨ておかれぬ謀反の兆を確認したものらしく、その処断、打合せなどのため、急遽、大仏殿のお下向となったものらしゅうござりまする」
「ま、待て右馬介」
「はっ」
「わしすら知らぬ、いや鎌倉中の御家人たれ一人とてまだ知らぬ、そのような秘議をば、どうして、そちのみが知っておるか」