Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans

Aozora Bunko

小公子

叡山東坂本の行宮は、寒烈、そんな一語ではつくせない。言語に絶する寒さだった。また敗報に次ぐ敗報のうえに、

主上はすでに

大宮の彼岸所に御座あれど

未だ参ずる大衆一人もなし

さては

衆徒も心を変じぬるや……

と、あるのを見ても、この日まだ、山門の意向さえも、はっきりしていなかった形勢であったとみえる。

おそらくは、山門の僉議も、

お味方か、中立か

の二論にわかれていたのだろう。尊氏軍の洛中占領も、直義の瀬田陥落も、山上にはわかっていたはずである。いやそこから手をかざせば、洛中洛外の兵火は、一望に見えもする。

「もし叡山が、足利がたへ傾いたら?」

これを思うと、供奉の公卿たちは、食べる物も今朝はのどに通らなかった。

主上以下、皇室の大御家族は、日吉山王二十一社の“彼岸所”とよぶ空院に、それぞれ一夜をやっと凌がれたが、玉座のおかれた一院でさえ、氷の床、氷柱の御簾、吹き騒ぐ枯葉のほかは参ずる人もなかったらしい。

まさに、後醍醐御一生のうちでも、この日はもっとも険しい、そして、あやうい御浮沈の刻々だった。

が、ひる頃。

はじめて、藤本坊の英憲やまた円宗院の法印定宗らが、五百余人の堂衆を後えにつれて、大床の下に来て伏し、