Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans

Aozora Bunko

「はて。また」

正成は立ちどまる。そして遅れた彼の姿をうしろに見つけてほほ笑んだ。

上の水分神社の桜も、下の山添い道の山桜も、散りぬいていた。花ビラの斑の妖しい舞が彼の童心を夢幻と昂奮の渦にひきこむのか。または子供の野性というものは、余りに美しいものへは嗜虐的に、かえって無性な暴に誘惑されて挑みかかってみたくなるものか。

見ると、蔦王は、棒切れを持って、跳びかかり、跳びかかり、花の梢を打っては歩いているのである。そして白い花の吹雪が変化にでも見えるかのように、ひんぷんと散り舞う物を相手に、独りで立廻りを演じたりしているのだった。

ふと正成の胸に、何かの書で見たたれやらの詩句がうかんでいた……

適 伴フ児童

落花ニ戯レ

闘ヒ去リ 闘ヒ来ツテ

転 風流

正成は彼を呼ばなかった。ゆっくり先へ歩いていた。

花なのでほほ笑まれ、児童なので、うたた風流、とも見過ごせたが、人間の子には本来、蔦王のしていたような性情が生れつきあるらしい。余りに完全なもの、熟れきった美しいもの、また超然たるものを憎む。理由なき憎しみと、その壊滅を見んとする快感とにそそられる。その天邪鬼な人心が大きく動いては、しばしば地上の大戦も呼ぶ。