Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 252 330 caractères · 505 écrans
私本太平記
天下多事
天下多事
いわば五月は革命月だった。誌すべきことが余りに多い。――で、鎌倉をしばらく措く。――そしてここはまだ天下混沌といっていいところだが、奕々と天の一方からは、理想の到達に誇ッた凱歌のあしおとが近づいて来つつあった。――都門還幸の後醍醐の龍駕であった。
路次の日誌によれば。
さきに伯耆の船上山を立たれた帝の瑶輿(こし)は日をかさねて、二十七日、播磨の書写山まで御着。
あくる二十八日は、法華山へ行幸され、あとは一路いそいで月のすえ三十日、兵庫の福厳寺につき、ここで中一日は御休息あったとある。
しかし、それはただ単なるお泊りだけのものではない。
新田義貞からの早打ち――鎌倉大捷の上奏文――をたずさえた急使、長井六郎、大和田小四郎のふたりは、福原(神戸)の道で鹵簿の列に会し、思わず供奉の前列へ走りよって、
「これは東国の新田小太郎義貞より遣わせられた急使の者です! 一刻もはやく奏聞にとの主命により、いそぎのぼってまいりました。――路傍ながら御侍者まで!」
と、大声で言ってぬかずき、先駆から後列の公卿たちまでを、びっくりさせた。
とりあえず、福厳寺に入り、庭上の二使から正式に新田の羽書(軍の急便)の捧呈をうけた。