Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
六
六
「お父様、お願い。この人に、少し物を訊かして下さい――竜吉さんは本当に、人手にかかって死んだのでしょうか」
重ねてお妙は、父親の腕にすがりつき、刀を抜こうとする手を拒んで、その前へ廻るのでした。
身体の不自由さは、長いあいだこの娘の生活を暗くしてしまって、陽の目を見ることの少い顔色は、不気味なほど蒼白くなっておりますが、それがまた、若さと情熱にかき立てられて、不思議な美しさを発散するのです。
「朝倉屋の竜吉は、気の毒ながら人に殺されましたよ。それについてお嬢さん、少しお話し下さいませんか」
平次は父親の忿怒の隙を狙って、この娘から、なにかを引出そうとしているのです。
「勝手にするがよい、恥知らず奴」
父親――立花久三郎は、娘の一生懸命さに圧倒されたものか、諦めた様子で袖を払いました。竜吉が生きていればこそ、嫁にやる、やらないの争いも続けたのですが、相手が死んでしまっては、あまり頑固らしいことを言い張るのも、妙に後ろめたかったのでしょう。
「どんな様子でした、竜吉さんの最期は」
父親がいなくなると、お妙は平次に縋りつきそうにするのです。畑を隔てて、遠く遠く恋人と顔を見合せながら、とうとう契る折もなかった十八娘は、もう恥も外聞も忘れて、最期の様子を聴くことに夢中だったのです。