Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
それにもう一人、伊豆屋の若旦那の与吉が一枚入る。三人が三人共、昼は広小路の水茶屋で、温かい茶を啜って半日粘った上、夜は夜とて――」
「夜は夜とてと来たね。八五郎の台詞も、この節は下座の鳴物が欲しくなったよ」
「茶かさないで下さい。相手は生命がけだ。ダブダブの茶腹で、夜っぴて米沢町一丁目の路地の奥に粘るんだから、深草の少将は楽じゃありませんぜ」
「フーム」
「中でも丹波彌八郎は大変で、――苗字がちゃんとあるんだから、これは二本差の子ですがね。何んでも親は歴とした旗本だとか言いましたが、臆病でなまくらで、嘘つきで出たら目で、又の名を腰抜け彌八という――」
「変な名だな」
「剣術を教えてもモノにならず学問を習わせても埒があかず、青瓢箪でヒョロヒョロで、その癖遊芸と女が好きじゃ手のつけようはありません。幸い男女取交ぜて八番目の末っ子で、猫の尻尾ほども役に立たないから、世間体を憚かって、表面は勘当だ。米沢町の長屋を借りての一人住居、母親が甘いから、月々の食扶持だけは仕送って居るが、腰抜け彌八それを良いことにして、昼は両国広小路の巴屋で、温かい茶を飲んで半日粘り、夜は夜とて――」