Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 082 caractères · 257 écrans
――平次殿の仰る通り、風呂場には強かに血の付いた、袷が一枚、盥につけてありました。これは御厚志に酬ゆるために、密かに申上げる。万事御内聞に――
とこれだけ書いてあったのです。素より署名も何んにもありません。
「御主人、御店に居る者で、無筆は下女のお六だけでしょうな」
平次は川村左馬太の手紙を読むと、何やら思い付いたように主人鹿右衛門を顧みて、妙なことを訊ねました。
「いや、下男の幹助も、無筆同様と自分で言って居るが」
「その幹助の部屋を見せて貰いましょうか」
「どうぞ」
家の反対側、物置の隣に下男幹助の部屋がありました。幸い本人は留守、捜して見ると、押入から、矢立が一挺と、紙が少しばかり出て来たのには主人鹿右衛門を驚かしました。丁度其処へ、
「親分、――良い匂いをさせて居るのがわかりましたよ」
相変らず、飛込むように八五郎がやって来ます。
「お嬢さんのお艶さん。滑って転げるような格好をして、首っ玉へ噛り付いてやりましたが――」
「ひどい事をするじゃないか」
「天下御免で――良い匂いでしたよ」
「それだけか」
「下男の幹助の懐中も匂いました。嫌がるのを無理に押えて取出させると、あの野郎、親の遺言で女を断ったような事を言って居るくせに、内懐中に、お嬢さんの手柄だの半襟だの、赤い可愛らしいものをくすねてうんと温めて居るじゃあり