Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
平次はもう少しの躊躇もしませんでした。
「大丈夫ですか、親分」
心配する八五郎の顔をしり目に、その隙間に、黄金の環をスルリと滑り込ませたのです。
環は無造作に穴の中へ落ちて、何処かでチーンと音がしました。同時に押していた銭形平次の手に従って、見る見る五重の塔の南面の扉は、音もなく内側へサッと開くではありませんか。
「入るのだ、八」
「大丈夫ですか」
中はほの明るくて、思いの外浅間な感じも外からの見掛けの堂々たるに比べて、妙に幻滅的ですが、それでもさすがに無気味さは背に迫ります。
「待て待て」
五重の塔に飛び込もうとした八五郎は、平次の手で押し戻されました。
「どうしたんです、親分」
「考えて見ると、二人で入って二人に間違いがあった日にゃ、後の始末が付かねえ」
「へえ、そう言ったものですかね」
「塔の中へはおれ一人で入って見る、お前はここから引返して精一杯人数を集めてくれ。谷中の菊がその辺に居るだろうし、手に及ばなかったら、お山同心にお願いして中間でも人足でも出来るだけかき集めるのだ」
「親分は?」
「おれは塔の上へ登って見るよ」
「危なくはありませんか、多勢集めて来るまで待っていちゃどうです」