Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
お静の命
お静の命
一万両の金は、その日のうちに、八丁堀屋敷に入りました。ここに納まれば、まさに金城湯池です。
「八、帰ろうか」
銭形平次はだれも待つ者のない自分の家へ、淋しく帰るほかはありません。
「あっしは今晩から、当分の間親分の家へ泊ってもかまわないでしょう」
八五郎はそんな気でいるのでした。
「志は有難いが、ろくな御馳走はないぜ」
「心得ていますよ。角の酒屋から一升届けさせさえすれば、何んにもぜいたくをいやしません」
「それがぜいたくでない気でいるんだからやりきれないよ――お前が来るのは宜いけれど、一と晩口をおかずにしゃべるのだけは止してくれ」
「まだ謎か何んか考えるんで」
「考えなきゃならないことがうんとあるよ。斑組の首領はだれか」
「お栄は何処へ行ったか」
と、八五郎。
「ひょっとこの面の男の正体は?」
「なるほどね」
そんなことを話しながら、二人は平次の家へ帰って来ました。もう酉刻半過ぎ、一日の活動の後に来る、餓と疲労にさすがに馬力の強大な八五郎もヘトヘトになっておりました。
火鉢に火を入れて、一本つけて、冷飯の用意をして、平次と八五郎は、兎も角も不器用なお勝手仕事をひと通りすますと、始めて長火鉢を挾んで、お互いに慰め合うように顔を見合せました。