Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
その数は一定しておりますが、出入りの町人に変動があるので、実際外へ出ているのは二十五、六枚、あとの五枚や三枚は何時でも門番の控所の抽出しに残っているのです。
帳面と札の数とを合せて見ると、それは直ぐわかります。
「二枚足りない。梅の五番と竹の七番だ」
頑固者の門番も、この時ばかりは色を失ってしまいました。門鑑を紛失するということは、今も昔も重大な失態で、まかり間違えば係りの者は、御役御免くらいにはなるのです。
「だが、たった二枚の手札で、八人の曲者が入れるわけはないが」
大橋要人はせめてもの助け舟を出しました。正直者の門番の手落ちを、何んとかして救ってやろうというのでしょう、この武家は思いの外の人情家です。
「で、昨夜の八人の曲者は、一度に御門を入ったのでしょうか」
「いや、一人、二人ずつ、四度か五度に料理を運んだと思うが――」
平次の問いに対して、門番は指などを折っております。
「それでわかりましたよ。これを御覧下さい」
平次は裏門側の植込みの蔭に大橋要人を誘いながら続けました。
「――御屋敷の中から塀の上に覆いかぶさったこの椎の木の枝に、凧の糸が引っ掛っておりますが、これを何んと御覧になります」