Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
父親の定五郎は昔は戸塚の宿で旅籠屋をして、よく暮したそうですが、身上をいけなくして江戸へ出て、数々苦労をした揚句の果てに中気に当り、足腰も立たない始末でさ。妹というのは出もどりのお里――定吉の叔母で、名前だけは可愛らしいのが世話をしていますが、これがまた人間の雌の乾物に魔がさしたような中婆さんで――」
「口の悪い奴だな」
「でも、定吉は孝行者ですよ。あの通り十五にしてはませた方で、智恵も身体も一人前ですが、主人の半兵衛が因業で、ろくな手当もしない上、藪入りにも出さなかったというんだから、思いやられまさ、――あの日は昼から親の家へ帰って、両国の見世物一つ見るんじゃなし、叔母のお里を骨休みに出してやって、父親の世話をして居たというんだから、感心な子じゃありませんか」
「御苦労御苦労、そんな事で、捜ることは捜り、聞き込むことは聞き込んでしまったが、肝腎の近江屋半兵衛を殺して得のゆく者や、近江屋半兵衛を殺すほどの怨みを持って居る者の見当はついたわけじゃねエ」
平次は深々と考え込んでしまったのです。
「これから先、何をやりゃ宜いんで、親分?」
「相手の仕掛けて来るのを待つほかはあるまいよ、――することが器用で執念深いから、これっきりで引っ込む相手ではなさそうだ」