Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
「――」
「お前の眼の前には、お前が手にかけて死なした死骸が山のようにつみ重なっているじゃないか。お前の手は血だらけだ――見ろ、お前の後ろに半兵衛や宇八や定五郎や、お里や半次の亡霊が、煙のように現われて、お前を指してケラケラと笑っているじゃないか」
銭形平次は手を挙げて、お栄の背後のあたりを指さすのです。振り返るとジメジメした黒い土と、白々と積まれた金箱の間から、ユラユラと夜の妖気が立ち昇って、お栄の艶やかな姿を押し包みそうにも見えるのです。
「止しておくれ、もう沢山だ。止してもらおうか、親分」
お栄はわずかに踏み留まると、竜虎のような凄まじい勇気を振り起して、敢然と平次に立ち向ったのです。
「いや、止さぬ――お前のような女は縄を打って処刑台に引上げただけでは、その背負いきれない罪の償いはつくまい。お前は自分の欲得のために、蟲のように殺して行った多勢の亡霊につかまって、生きながら焦熱地獄の底に堕ちて行くのだ」
平次の舌は正義感に煽られて、この世にも美しい顔と姿を持った、殺人鬼お栄を真っ向から責め立てるのでした。
最後の賽の目
「違う、違う。皆んな嘘だ」
お栄は超人的な意思で、わずかに立ち直りました。