Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lisez 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 264 caractères · 280 écrans
用紙を検べ筆蹟を検べて見たが、何の思い当る所もない。福田氏の知り合いには、一人もそんな筆癖の男はいないのだ。
「十一月廿日」や「十四」が何を意味するのか、差出人は誰なのか、戸締厳重な部屋の中へどうして持って来ることが出来たのか、凡てが全く想像も出来ない丈けに、ひどく不気味に思われた。「幽霊ででもなければ出来ない仕業だ」と考えると、何かしらゾッとしないではいられなかった。
だが、奇怪はそれで終った訳ではない。その次の日も、又次の日も、福田氏が目を覚ますと、必ず毛布の上に一枚の紙切れがのっていた。文句はやっぱり簡単な数字で、
「十三」「十二」「十一」「十」「九」
と一日毎に一目下りに、順序よく変って行く。云うまでもなく、福田氏はそんなことが起り始めてから、就寝前の戸締りを一層念を入れて厳重にしたのだけれど、幽霊通信には、戸締りなんか邪魔にならぬと見えて、何の甲斐もなかった。
福田氏は、数字が「九」まで進んだ時、もう我慢がし切れなくなって、甥の玉村二郎を呼びよせて、この快活な若者の智恵を借りることにした。二郎は宝石王玉村氏の二男で、妙子の兄に当り、ある私立大学に籍を置いて、遊び暮らしている、二十四歳の新青年であった。