Classiques japonais avec furigana
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あだこ
あだこ
山本 周五郎
Lisez あだこ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 762 caractères · 46 écrans
むろん父の死後で、彼が札差から金を借りつくしたあとの出入りであるし、市兵衛の店にも相当な借が溜まっているわけだが、仮にもこっちは旗本、相手は商人にすぎない。そんな無礼な口をきいていい筈はないので、彼は返辞をしなかった。すると台所で物音がし、やがてこっちへ来る人の足音がした。半三郎は寝ころんだままじっとしており、足音は襖の向うで停った。
「失礼します、旦那はこちらですか」
半三郎は黙っていた。静かに襖をあける音がし、半三郎はじっとしていた。すると襖がしまり、襖の向うから声が聞えた。市兵衛はこっちへははいらなかったのだ。襖をあけ、半三郎の寝ころんだ姿を見て、すぐに襖をしめたのである。
「面と向っちゃあ云えなくなりそうだ、ここで云いますからそのままで聞いておくんなさい」と市兵衛が云った、「伊賀屋や八百久はながいお出入りだそうだが、私は御贔負になって幾年にもならねえ、だからはっきり云いますが、今日持って来た米が最後で、これからは御免を蒙りますからそう思って下さい」
「そんなことはあだこに云え」
「旦那に云いたいから私が来たんだ」と市兵衛の突っかかるような声が聞えた、「旦那は歴とした旗本でいらっしゃる、男でお侍で旗本で、拝見したところ躯もお達者なようだ、きざな云いようだが、いわば四民の上に立つ御身分でいて、寝ころんだまま