Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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おばけのしょうたい

おばけの正体

井上 円了

Lisez おばけの正体 (おばけのしょうたい) de 井上 円了 (いのうええんりょう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 925 caractères · 145 écrans

Aozora Bunko

ただし、世間には仮怪最も多きようでありますけれども、その中には偽怪、誤怪の混入せる例がたくさんでありますから、ウッカリ信ずることはできませぬ。要するに数種の妖怪中、偽怪、誤怪の類が最も多いに相違ありませぬ。果たしてしからば、世間の者は妖怪の贋物ばかりをかつぎ出し、真物はかえって知らずにおります。諺に「盲者千人に明者一人」とは、もっともの格言ではありませぬか。

かように、世の中には妖怪に贋物ばかり流行している原因をたずぬるに、全く人の奇情と迷心との二つが製造場となりて、不断種々の妖怪を造り出す故であります。奇情とはたれびとも有する好奇心のことにして、なににても見慣れず聞き慣れぬ珍しきことあれば、これを大層らしくいい立てて、人を驚かそうとする一種の癖心のことであります。迷心とは安心の反対にして、物事の道理に暗く、自分の思うようにゆかないときに、いろいろの妄想を起こして迷い出すことであります。人にこの迷心があるから、安心することができず、安心ができぬから、ますます迷うようになります。奇情の方はやや狂気じみているけれども、さほど害にはならず、かつ、おもに偽怪のみに関係しているから、やかましく論ずるにも及びませぬが、迷心の方は偽怪にも誤怪にも仮怪にも関係し、一人の利害はもちろん、国家の盛衰にも関係していることなれ