Classiques japonais avec furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lisez とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 729 caractères · 371 écrans
「ハイ、それに間違いありません」
お品は、腫れた瞼をあげながら、ハッキリ答えた。
技師は頭の中で何事か考えを整理するように、一寸眼をつぶったが、すぐに立上ると、電話室へ出掛けた。十分間もすると戻って来た。多分長距離電話であったのであろう。しかし戻って来た菊池技師は、抜け上った額に異様な決断を見せながら、お品を連れて、水平坑へはいって行った。
密閉された片盤坑の前には、二、三の小頭たちと一緒に、どうしたことか係長が、ドスを持ったまま蒼くなって立っていたが、技師を見ると、進み寄って口を切った。
「菊池君。どうも困った事になった」
「どうしたんです」
「それがその、全く変テコなんだ。実は、この片盤には犯人がいないんだ。坑道はむろんのこと、どの採炭場にも、広場にも、穴倉にも、探して見たがいないんだ」
すると菊池技師は、落着いた調子で、意外なことを云いだした。
「いったいあなたは、誰を捜しに入坑したんです?」
「え? 誰を捜しにだって?」係長は思わずうろたえながら、「犯人にきまってるじゃアないか」
「いやそれですよ。あなたはさっきから犯人犯人と云われたが、いったい誰のことを云われるんです?」