Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lisez へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 120 caractères · 58 écrans

Aozora Bunko

「まさか泣きだすんじゃあないだろうな」房二郎はからかうように云い、木内の腕を取ってむりやりに立たせた、「もう一と跨ぎで長屋の木戸だ、さあ、帰りましょう」

「それがだめなんだ」

「なにがだめなんだ、おまえさんのうちじゃあないか」

「女房が来ているんだよ」木内は力のぬけたような声で云った、「ちょび髭が月手当をあげると云った、それだけあれば夫婦二人のくらしは立つと思ったんで、箱根から呼び戻したんだ、一昨日返事があって、今日の夕方にはこっちへ着いている筈なんだ」

ちょび髭の前に平つく這い、恥も外聞もなく泣きごとを並べた木内桜谷の姿が、房二郎には改めていたましく、思いだされた。

「大丈夫だよ」と彼は云った、「夫婦の仲じゃないか、それに箱根までいって稼いで、あんたに貢ぐほどの人だ、事情をよく話せばわかってくれるさ」

「そういう女房だからこそ、よけい顔が合わせられないんだ、――いっしょに来てくれるか」

房二郎はどぎまぎし、「おれがか」と反問し、すぐに頷いた、「いいよ、おれでよければいっしょにゆこう」

「済まねえな、恩にきるぜ」

木内桜谷はよろめき、房二郎の肩に凭れかかった。