Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lisez へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 120 caractères · 58 écrans

Aozora Bunko

四

房二郎は文華堂へはいってからずっと、仮名書女庭訓という写し物をしていた。原本は高名な漢学者で、原題を「啓蒙婦女庭訓」といい、広く読まれている評判の本であった。その文章を少しずつ変え、仮名書にして売ろうというのである。つまり偽書を作るわけで、房二郎は一字書くごとに、恥ずかしさで汗をかく思いだった。

「しょうばいだよ、しょうばい」と木内桜谷は慰めてくれた、「にんげん生きてゆくためにゃあ、どんな恥ずかしいことも忍ばなくちゃあならねえときがある、気にしなさんな、そのうちに慣れるさ」

四

「そんなとこへ寝ちゃあだめよ、風邪をひくじゃないの、起きてよ池さん」

「おめえ誰だ」と房二郎が云った、「ここはいってえどこだ」

「あんたの部屋のあるうちじゃないの、小舟町よ」

房二郎は頭をもたげておるいを見、ああ、あんたかと云ってまた眼をつむり、畳の上で仰向けに寝返った。

「だめねえ、飲めもしないくせに」おるいは立ってゆき、坊主枕と掻巻を持って来て、房二郎に枕をさせ、掻巻を掛けてやった、「苦しいんじゃないの、水を持って来ましょうか」

房二郎には聞えなかったらしい、「――いっそ乞食にでもなればよかった」