Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lisez パンドラの匣 (パンドラのはこ) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 644 caractères · 386 écrans

Aozora Bunko

だからこんどはお前も、その女のひとを、にらんだりなんかしないで、も少しあいそよくしてあげるんだね。ちゃんとお辞儀をしてね。」

「しまった! きょうは帽子もとらない。」

「そうだろ。帽子もぬがずに、ただ、はったと睨んでいたんじゃ、ふつうだったら、まず交番に引渡されるところだ。その女のひとに理解があったから、たすかったのだ。来月の三日には、しっかりやるさ。」

けれども僕は絶望している。芸術の道にも、普通のサラリイマンの苦労と、ちっとも違わぬ俗な苦労も要るだろうという事は、まえから覚悟していたところで、それくらいの事には、へこたれはせぬけれど、僕がきょう斎藤氏邸からの帰り道、つくづく僕自身の無名、矮小を思い知らされて、いやになったのだ。斎藤氏と僕、あまりにも違いすぎていたのだ。こんなに、雲と雑草ほどの距離があるとは、気がつかなかったのだ。やあ、と声を掛ければ、やあ、と答えてくれそうな気がしていたのだ。なんたる無邪気さであろう。きょうは全く、あの人と僕たちとは、人種がまるで、別なのではないかというような気がしたのである。努めて及ばぬ事やある、という言葉もあるけど、どんなに努めても及ばぬ事も、この世にはあるのではあるまいかと思って、うんざりしてしまったのだ。