Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lisez パンドラの匣 (パンドラのはこ) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 644 caractères · 386 écrans

Aozora Bunko

実にこまかいところまで、ハッキリ書いている。少しの華やかさもないが、その代り、非常に厳粛なものが感ぜられた。読んでいるうちに、坐り直したいような気がして来た。鴎座の時には、ただもうわくわくして、空騒ぎをしたものだが、こんどは、もう冗談ではない。沈鬱な気さえするのである。ああもう僕も、いよいよ役者稼業に乗り出すのか、と思ったら、ほろりとした。

三名採用。その中にはいる事が出来るかどうか、まるっきり見当もつかないけれど、とにかくやって見よう。兄さんも、今夜は緊張している。きょう僕が学校から帰って来たら、

「進。春秋座から手紙が来てるぜ。お前は、兄さんにかくれて、こっそり血判の歎願書を出したんじゃないか?」などと言って、はじめは笑っていたが、手紙を開封してその内容を僕と一緒に読んでからは、急に、まじめになってしまって、

「お父さんが生きていたら、なんと言うだろうねえ。」などと心細い事まで言い出す始末であった。兄さんは優しくて、そうして、やっぱり弱い。僕がいまさら、どこへ行けるものか。ながい間の煩悶苦悩のあげく、やっとここまで、たどりついて来たのだ。

こうなると斎藤先生ひとりが、たのみの綱だ。