Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

Lisez 不連続殺人事件 (ふれんぞくさつじんじけん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 047 caractères · 322 écrans

Aozora Bunko

「いや、歌川一馬氏は、自殺しました」

巨勢博士の顔色が変った。虚脱にも近い苦悶と落胆の色であった。

「ヤ、おそかったか! 僕は、バカだ。不眠、不休。然し、ああ、一生の不覚だった!」

絶望的な悔いの苦痛がきざまれた。カングリ警部は笑いだして、

「ひどくお忙しかった様子ですね。不眠不休ですか。お気の毒です。然し、私どもも、昨夜は不眠でしたよ。然し、ともかく、落ちつくところへ落ちついたようです」

巨勢博士の全身に、すさまじい怒りがこもった。

「畜生め! もう、逃さない。ああ、然し、手おくれだった! 然し、仕方がなかったのです。今さら面目もありませんが、ツラの皮だけはヒンむいてやります」

「誰のツラの皮をヒンむくのですか」

「犯人の、です」

「歌川一馬氏は自殺しましたよ」

カングリ警部は涼しい顔で答えたが、巨勢博士はそれに頓着していなかった。

「歌川先生は、毒薬でなくなられたのですね」

「左様、青酸加里です」

「遺書はありますか」

「いいえ、然し、何か、一晩中、書いては消し、書いては消したものがあります。ひどく消しつぶして判読できませんが、あるいは遺書をかくつもりだったかも知れません。