Classiques japonais avec furigana
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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
Lisez 中世の文学伝統 (ちゅうせいのぶんがくでんとう) de 風巻 景次郎 (かざまきけいじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 115 977 caractères · 230 écrans
は、隠者によって要求された詩である。当時としては、京都の中流公家の古く誇らかな家の歴史の故に、下品で露骨な競争から退かねばならぬ宿命を持っていた人々、隠者の「詩」であったのである。俊成の子定家は治承四年に十九歳の青年であった。それは『千載集』奏覧の足かけ八年まえであったが、日記に、源平の争乱を記して、「世上の乱逆追討は耳に満ちたりと雖も、これを注せず、紅旗も征戎も吾が事にあらず」といったのは有名なことである。恐らく父と心を一つにした時代、父の心を鵜呑みにしていた頃の言で、後年の二十代三十代の定家を思い比べると、この言には父の影響によるところがよほどあるように思う。しかしそうでなければ一層都合がよい。この十九歳の青年もすでに深く感じていたように、現世の政争を風馬牛視し得る生活の確立である。こうした態度は単なる弱さではない。現世の栄枯盛衰ばかりに気をとられて、この世で少しでも立身出世しようという野性的な本能のままに、逞しく主我的な行動をすることに別れをつげた文化精神が、苦難のときにおいて成し遂げた目覚めであり、反射的行動への観照の君臨である。この世において自己保存の本能にしたがうことを封じ込めなければならなかった心の命令である。