Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたりのもうじん

二人の盲人

平林 初之輔

Lisez 二人の盲人 (ふたりのもうじん) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 366 caractères · 13 écrans

Aozora Bunko

二

放射線道路の縁端は玄療院の玄関から、茶の間を横ぎって斜めに南の方へ突きぬけることになっていた。

既にこの頃では、人夫の声や、鶴嘴の音や、トロッコの響きなどが崖の下で聞こえる。土の崩壊する音を聞くたんびに、彼は彼の世界が、いや彼の生命そのものが崩壊していくように感じた。彼は、稼業の針按療治にも手がつかないで、榊の生垣のそばにつっ立って、世界の崩壊する音を聞きながら、吐息をついていることが、毎日のようだった。

二

玄石には、美しい妻があった。

だが、美しいというのは、世間の人の評判だけで、子供の時分に視覚を失った彼には、女の美醜についての観念は全くなかった。美しいというのは、どういうのだろう? 彼は、鋭敏な指先で、彼女の頭を、眼を、鼻を、口を、頤を、肩を、乳房を、全裸体を撫でまわしてみて、彼女の美を意識しようとつとめたことが、幾度あったか知れぬ。だが、どんなに鋭敏な触覚でも、視覚の代わりをすることはできなかった。彼にとっては、彼女の美は、不可知の属性にすぎなかった。それは彼に何の悦楽も与えないで、ただ、永久に満たされないもどかしさを与えるだけだった。美を所有しながら、美を認識することができないということは、もともとよりもなお悪かった。