Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぼうれいホテル
亡霊ホテル
山本 周五郎
Lisez 亡霊ホテル (ぼうれいホテル) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 706 caractères · 20 écrans
学校の退けたのが午後四時、それから片町の友達を訪ねたところが、無理に引留められて、六本木の近くにある「山手ホテル」へ着いたのは午後七時を過ぎた頃だった。――受付で部屋の番号を訊くと、若い給仕がいて三階の六号だと教えて呉れた。
「御案内を致しましょう」
と云うのを断って(不意に行って驚かせてあげよう――と思ったのである)とんとんと階段を登り、右の翼屋の方へ曲って右側の扉、六号と書いてあるのを見て、そっと握を廻してみた、鍵はかけてなかった。
――いるわ。
と思って、首を竦めながらそっと明け、跫音を忍ばせて入った。其処は寝室と前部屋と垂帷一枚で仕切られていて、前部屋には仕事卓子と椅子が数脚置いてある、――その卓子の側に立って、此方へ背を向けて一人の男が何かしていた。
――お兄さまだわ。
疑ってみる迄もなくそう信じたみどりは、いきなり後へ駈け寄って、
「お兄さま今晩は……」
と叫んだ。不意を打たれて相手は、
「あっ!」
と云いながら振返った。――意外にもそれは兄ではなかった。全く見知らぬ人である、みどりは吃驚して二三歩退り、「まあ、済みませんでした、あたくし……」