Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
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モウロ その三人は皆あなたに殺されましたか。
おいよ いえ、わたくしが一人に飛びかかると、ほかの二人はおどろいて逃げてしまいました。あとで聞きますと、その三人は盆踊の戻り道でわたくしに殺されたのはおぎんと云う今年十六の娘……。しかも毎日わたくしのところへ針仕事の稽古に来る娘でござりました。情ないと云いましょうか、浅ましいと申しましょうか。それが因果の始まりで……。(又泣く。)
モウロ (嘆息して。)その狼の噂はわたくしも聞いていましたが……。では、二三日前の晩に、寺の小僧に飛びかかったと云うのも、矢張りあなたでしたか。
おいよ 唯今も申す通り、何事も自分がするのか、人がさせるのか、半分は夢のようで、確にはおぼえて居りませんが、あの小僧さんには松明を投げ付けられたようでござりました。(涙をぬぐう。)伴天連様。今のわたくしは人間であるのか、獣になったのか、我身でわが身が判りません。兎もかくも昼間は人なみの人間で、道理も人情も一通りはわきまえて居りながら、夜になると忽ち狼のこころに変って、人の肉を喰い、人の血を啜る……。こんな浅ましい因果な人間は、とても此世に生きてはいられないのでござります。