Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans

Aozora Bunko

日が暮れてから男の三人は再び散歩に出たが、女達はもう出て来なかった。

「田宮君、君はけしからんよ。」と、本多は途中でだしぬけに言い出した。「君はあの児島亀江という女と何か黙契があるらしいぞ。」

「児島というのはあの中で一番の美人だろう。」と、遠泉君は言った。「あれが田宮君と何か怪しい形跡があるのか。ゆうべの今日じゃあ、あんまり早いじゃないか。」

「馬鹿を言いたまえ。」

田宮はただ苦笑をしていたが、やがて又小声で言い出した。

「どうもあの女はおかしい。僕には判らないことがある。」

「何が判らない。」と、本多は潮の光りで彼の白い横顔をのぞきながら訊いた。

「何がって……。どうも判らない。」

田宮はくり返して言った。

二

日が暮れてまだ間もないので、方々の旅館の客が涼みに出て来て、海岸もひとしきり賑わっていた。その混雑の中をぬけて、三人がけさ参詣した古社の前に登りついた時、田宮はあとさきを見かえりながら話し出した。

「僕はいったい臆病な人間だが、ゆうべは実におそろしかったよ。君たちにはまだ話さなかったが、僕はゆうべの夜半、かれこれもう二時ごろだったろう。