Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
一旦投げ捨てたのが又這いあがって来て、かの児島亀江のオペラバックの上に登った。彼女はこの時にもう呪われたのであろう。彼女が湯風呂の底に沈んだのは、為子の嫉妬でもなく、同性の愛でもなく、あばた蟹の祟りであるかも知れない。それにしても、四人の女の中でなぜ彼女が特に呪われたか、彼女が最も美しい顔を持っていた為であろうか。それともまだ他に子細があるのであろうか。
遠泉君は更に彼女と田宮との関係を考えなければならなかった。おとといの晩、田宮が風呂場で見たという女の首はなんであろうか、それが果たして亀江であったろうか。ゆうべも本多が垣の外へ投げ出した蟹が、ふたたび這い戻って来て田宮の胸にのぼると、彼は非常に魘された。かの蟹と田宮と亀江と、この三者の間にどういう糸が繋がれているのであろうか。遠泉君は田宮を詮議してその秘密の鍵を握ろうと決心した。
宿の前まで来ると、かれは再びきのうの巡査に逢った。
「やっぱりなんにもお心付きはありませんか。」と、巡査は訊いた。
「どうもありません。」と、遠泉君は冷やかに答えた。
「古屋為子がもう少しこころよくなったら、警察へ召喚して取り調べようと思っています。