Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
弓矢を取って代るべき侍どもは館の内にも大勢控えているが、あるものに魂を奪い取られて、一種の物怪に憑かれたように焦れ狂っている主人を、おだやかに取り鎮めるものは小坂部のほかは無いので、侍従もひたすらにかれの戻りを待ち佗びていた。権右衛門も自分ひとりが駈けぬけて来たのを後悔して、再び馬に鞍を置かせようとしているところへ、姫と采女とはしずかに帰って来た。
侍従をはじめ、待ちかねていた家来や侍女どもがあわただしく出で迎えると、姫はかれらの質問に対してこう答えた。
「昼のほどに徒然草を読んでいたら、どうも解せぬところがあったので、すぐに双ヶ岡まで走って来た。ほほ、増穂の芒じゃ。」
増穂のすすき――その意味を、侍従はさすがに知っていた。それも徒然草の中に書かれてあることで、あるところに大勢の人があつまっている時に、ます穂の芒の議論が出た。渡辺の聖がこの事をよく知っていると或る人が語ると、その席に居合わせた登蓮法師が俄かに座を起って、すぐに蓑笠を貸してくれ、これから渡辺の聖のところへその教えをうけに行きたいと言った。あいにくに雨は降る、それほど急ぐにも及ぶまい。