Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
しかし自分としては再びかの庵をたずねて、この間の礼を述べ、あわせて其の結果を一応報告する務めがあるとも思ったので、かれは諸国の大小名から進物として贈って来た修禅寺紙、有馬筆、伊勢荒布の名産を中間に持たせて行った。微行といっても、この間とは違って表向きに父の許しをうけて出るのであるから、きょうは荷をかつぐ中間のほかに侍女二人を連れていた。
美しく晴れた朝で、さわやかな秋風がうす物の被衣をそよそよと吹いて通った。澄んだ空は一日ましに高くなって、比叡も愛宕も秋の光りの中に沈んで見えた。堀川から西へ西へと辿ってゆくと、とある四つ辻のまん中に五、六人の小供たちが立ち騒いでいた。赤とんぼうを追うのでなく、かれらはある異形の男のあとを追っているのであった。
「御覧じませ。あれは眇目の唐人めでござりまする。」と、中間はかの異形の男を指さして教えた。
「おお、あれが眇目の唐人か。」
その噂を聴きながらその正体をまだ一度も見たことのない侍女どもは、珍らしそうに立ち停まった。眇目の唐人――それを見るも聞くも小坂部はきょうが初めてであった。彼は蒼白い顔に長い毛をふりかぶって、身には異国風の破れた衣服を着て、跣足でうろうろと迷いあるいていた。