Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans

Aozora Bunko

」と、中間はあたりを見廻して言った。「あのような奴めが都に徘徊するは世のためにも良うござらぬ。搦め取って繋いで置くか、追い放すか。なんとか仕置きをせねばなりますまい。」

「いや、いや、捨てて置いたがよい。きょうのことは館へ戻っても、沙汰すること無用じゃぞ。」と、小坂部はかれらに言い聞かせた。

もう一町ばかりで堀川の館へ帰り着くというところで、足早に来る若侍に出逢った。彼は本庄采女であった。

「おお、お戻りでござりましたか。」と、采女は先ず声をかけた。

「采女、どこへ……。」と、小坂部は俯向いていた顔をあげた。

「若殿お館へ……。」

言いかけて、彼は供の者どもの手前を憚るらしく、そっと小坂部を眼で招くと、かれは心得て摺り寄った。二人は路ばたの柳のかげに立った。

「早速ながら兼好御坊の返事は何とござりました。」と、采女は小声で訊いた。

「兼好御坊は不在であった。」

「ほう、不在……。」と、彼は美しい顔を少ししわめた。「では、かの歌の講釈、なんとも確かには相判りませぬな。」

小坂部は無言でうなずいて見せると、采女は低い溜め息を洩らした。

「さりとは是非ない儀。実は御不在の間に大殿の御気色俄かにあしゅうならせられて……。