Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
三
しかも自分がその直接の責任者となるのを避けて、わが子の師冬をそそかして彼からその口火を切らせようとしたのであるが、師冬はあたかもこちらのふところを見透しているかのように、かえって塩冶の肩を持って父に反抗するような態度を示したので、師直はまた失望した。恋には破れ、わが子には背かれ、やるかたもない悶々の情は、いよいよ彼を駆って半狂乱の人間にしてしまった。彼が持ち前の野性は遠慮なく発揮された。
「もうこの上は誰をもたのまぬ。おれのことはおれがする。師直の力を見ろ。」
彼はその日の暮れるのを待って、将軍足利尊氏の館へ出仕した。不得要領の陣触れといい、先刻までも半病人の姿であった主人が俄かに出仕するといい、これは唯事でないと見た権右衛門は、すぐに師冬の館へ駈け付けて注進すると、師冬は蒼ざめた顔をいよいよ蒼くした。彼はさりげなく権右衛門を帰したあとで、空を睨んで罵った。
「取り留めたる証拠もなしに味方を討つ。万一このままに塩冶をほろぼろしたら、味方はたがいに疑い危ぶんで、一身をなげうって将軍家に忠節を励むものもあるまい。父上は天魔に魅られたのじゃ。」
三
あくる朝、師直の家来の重なる者は三河守の館によび付けられた。