Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
侍従は路ばたに蹴倒されて這いかがまっている間に、目ざす二人を捕り損じ討ち損じた彼等の話を偸み聴いて、その秘密をあらまし想像したのであった。
「わたくしが推量には、誰かが三人のあとを尾けて来て、塩冶殿の屋敷へ入るところを見とどけたのではござりますまいか。」と、侍従は更に自分の想像を付け加えた。
おそらくそんなことであろうと小坂部も想像した。そしてそれは荏原権右衛門か、あるいはその腹心の者であろうと思った。権右衛門の密告によって、父はいよいよ憤怒の焔を燃やして、館へ帰るのを待つまでもなく、途中で自分を引っ捕え、あわせて采女を討ち果たせと命令したのであろう。父のそれを待ち受けて成敗しても遅くはないのであるのに、いったん思い立ったが最後、もう半※(「日+向」、第3水準1-85-25)の猶予も出来ないで、すぐに仕置きを加えようとする――それが父の性質であることを小坂部もよく知っていた。しかしそれが自分達に取ってはむしろ物怪の幸いで、うかうかと館へ帰ったらばどんなことになるかも知れない。かれはここで侍従に出逢ったのを神の助けであるとも思った。眇目の男の忠告も今更のように思い出された。