Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
「ここは何という所であろうか。」と、小坂部はあいにくに燻る落葉の煙りを袖に払いながら訊いた。
「知りませぬ。まだ播磨路へは行き着きますまい。やはり丹波路かと思われまする。」と、采女もおぼつかなげに答えた。
「あの男はどこへ行ったのであろう。ここらに人家などありそうにも見えぬがのう。」
「わたくしも左様存じまする。」と、采女は暗い沼の方を見かえった。「しかしあの男は道中の案内をよう存じているようにも思われますれば、そこらに村里などあるのかも知れませぬ。」
「そうかも知れぬのう。」と、小坂部も僅かにうなずいた。「自体あの男はわたしらをどこまで連れて行くのであろうか。」
その不安は采女の胸にも畳まっているらしく、彼はその問いを待ち受けていたように答えた。
「異国のあやしい男、それに伴われてうかうかと何処まで参ることやら、思えば覚束ない限りでござる。京を立ち退く時には心のみ急がれて、ろくろくに前後の分別もなく、彼を路しるべとして此処まではまいったれど、何やら性の知れぬ胡乱な奴、いつまでも道連れにするは不安のようにも思われまする。」
そうは言いながらも、二人はおめおめと彼に引き摺られて、ここまで一日の旅をつづけて来たのである。