Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
阿香 兄さんは来るかしら。
李中行 来るも来ないもあるものか。十五夜には家へ帰って来て、おれたちと一緒に月を拝めと、あれほど云い聞かせて置いたのだから、屹と来るに相違ないよ。
柳 十五夜で、店の方が忙がしいのじゃないかね。
李中行 なに、あいつの勤めている店は本屋だ。おまけに主人は日本人だから、十五夜に係り合があるものか。あいつ、何をしているのかな。
柳 そう云っても奉公の身の上だから、自由に店をぬけ出して来ることは出来ないのかも知れない。
阿香 十五夜だから暇をくれなんて云っても、主人が承知するか何うだか判らないわ。
李中行 でも、去年は来たではないか。
阿香 去年は去年……。今年はどうだか……。ねえ、阿母さん。
柳 中二も主人の気に入って、今年からは月給が五円あがったというから、それだけに仕事の方も忙がしくなったかも知れないからね。
李中行 月給のあがったのは結構だが、それがために十五夜に帰って来られないようでは困るな。
阿香 あら、お父さん。十五夜よりも月給のあがった方が好いわ。
李中行 おまえも今の娘だな。(舌打ちして。)まあ、仕様がない。毎年親子四人が欠かさずに月を拝んでいるのに、今年だけはあいつが欠けるのか。