Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
二
」と、男も催促した。
「早うお飲みなされ。」と、采女も声をかけたようにきこえた。
小坂部はもう考えている余地はなかった。かれはその土器を把って一と息にぐっと飲むと、かれの両腕に止まっていた蝙蝠も梟もいつの間にか飛びのいてしまった。
「見事じゃ。それでこそわれらの味方じゃ。」と、男は声をあげて笑った。
床の上の蝋燭はその笑い声に吹き消されたようにふっと消えると、采女のすがたも闇にかくれた。獣のなまぐさい生き血を啜って、小坂部はなんだか眼がくらんで来たように感じられた。血に酔わされたかれは次第に夢のような心持になって、暗い床の上に俯伏したとまではおぼろげに記憶していたが、それから後はなんにも知らなかった。
二
どこやらで鴉の声がきこえたので、小坂部は初めて夢から醒めた。鳥の声はどこから曳れて来たのか知らないが、窓一つないらしい部屋のなかは、夜だか昼だか判らないように暗かった。ただ正面の神壇らしいものの前に、黄いろい蝋燭の灯がぼんやりとともっているばかりであった。
その弱い光りをたよりにして、かれはあたりを見まわすと、そこには眇目の男も見えなかった。采女のすがたも見えなかった。