Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
使いの口上、お聴きなされたか。」
「なんの、あのような奴が譫言……。」と、師直は息をはずませながら言った。
「いや、あれは皆わたくしの口上とおぼしめせ。お身は呪われた命、しょせん生きようとて生きられませぬぞ。」
小坂部はおごそかに言い渡した。その威に打たれたように、師直も少し鎮まると、小坂部はかさねて言った。
「なんと判りましたか。わたしも昔の小坂部ではござりませぬ。幾年の修業を積んで、今は人間ならぬ世界に棲んでいれば、世の盛衰、人の栄枯、手に取るように見えまする。殊にお前さまはわれわれに呪われている身の上、なんとしても逃がるる運ではござりませぬ。ただ潔よく今宵のうちに……。」
「どうでも師直に死ねというか。」
「どうでも死なねばなりませぬ。」
「それをおのれらが祈っているのか。」
「祈っておりまする、呪うておりまする。」と、小坂部は教えるように言った。「くどくも申すようなれど、お前さまの命はわれわれの手に掴まれておりまする。現に兄上も……。」
「むむ。師冬もおのれが呪うたか。」と、師直はまた唸った。
「それも是非がござりませぬ。しかし兄上はわたくしの教えに付いて、潔よく討死をなされました。