Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
そのあいだも姫山の天主閣はむかしのままで、一種の謎のように立っていた。秀吉がこの天主閣を焼き払わなかったのは、彼も切支丹宗門を信じていた為であるとも伝えられているが、それは確かに判らない。姫山が姫路と呼び変えられた後、それは池田家の居城となった。天主閣の頂上に薄い火の光りが見える時には、なにか禍いのある兆として城中の者から恐れられていた。
妖女に呪われた秀吉は、その子の秀頼の代にほろびた。福嶋市松は芸州広嶋の城主と出世したが、これも一代で家は断えた。
この物語のはじまる頃から数えるとおよそ三百年、ほとんど絶え間なしに打ちつづいた日本国じゅうの争乱も、元和元年の大坂落城を最後としてひとまず静謐に帰したが、寛永十四年の冬から十五年の春にかけて、九州ではかの嶋原一揆の騒動が起こった。それもようやく鎮まると、あくる寛永十六年に姫路の城主本多政朝は因州鳥取に移されて、松平忠明が代って姫路に入城することになった。忠明がそのおん礼として江戸に登城すると、将軍家光はそっと言い聞かせた。
「姫路の城には天主閣があるそうじゃが、それは世の守り神と存じて必ず疎略にいたすな。