Classiques japonais avec furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans
「ああ、多津姉さんね、やつぱり雲井さんと別れるんですつて……。それから、ほら、仲よしだつた鷲尾妙子つていう女流作家がいるでしよう。あのひととも喧嘩しちやつたんですつて……。今、なんだか知らないけれど、行商つていうのか、外交員つていうのか、そんなことしてるわ」
「なんだい、お前の相談つていうのは?」
「うゝん、なんでもないこと……母さんはお父さんと別れちまつたらどうかと思うのよ。だつて、くだらないでしよう、あんな生活は生活つて言えないわ」
京野等志は、この少女の意見が、いつたいどこから出て来たものかを疑わないわけにいかなかつた。
「お母さんは、そんなにこぼしてるかい?」
「うゝん、それがそうでもないから、あたしなお情けなくなるの。なんとかしてあげられないか知ら?」
真喜の調子は意外なほど真剣であつた。
「まあ、待てよ。お前がそういつたつて、お母さんがそれを承知しなけれや、どうにもなるまい。お前はそれより、自分の将来のことを……」
と、言いかけるのを、真喜はみなまで聞かず、
「えゝ、それやわかつてるわ。あたしは、多津姉さんとも、美佐姉さんともちがつてよ。大事な青春を特定の男性に捧げるなんて、バカなことはしないわ」