Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans

Aozora Bunko

二

そして、こゝへ来て、彼の眼にふれ、耳にきくことは、すべて、そういう気持に拍車をかけるばかりである。彼はまだ、なんの決意もしていない。自分がどこまで飛びこんで行くかもわかつていない。彼はたゞ、確信を得たいのである。

なるほど大地主の名にそむかぬ堂々たる構えの屋敷が、もうそこに見えていた。いくつかの土蔵をバックに、城郭のような白壁の塀をめぐらした長久保家の門の前に立つた時、彼は自分自身に言いきかした。

――彼女の心を試すような言葉はつゝしもう。

しかし、百瀬秀人の後につゞいて勝手口の土間へはいつた彼は、囲炉裡ばたの薄暗い光線の中に手拭を頭にかぶつた小萩の姿をちらと見てしまつたのである。

二

百瀬秀人は仕事があるからといつて、彼をひとり残して帰つて行つた。十二畳のひろい座敷にひとり待たされている間に、京野等志は、たつた今、たしかに小萩だと思つた女は、あるいはそうではなかつたのかと疑いはじめた。なぜなら、さつきから座蒲団をすゝめたり、コタツの火をもつて来たり、いらつしやいませとていねいにお辞儀をしたりする若い女の年頃がちようど似たりよつたりで、あの瞬間、小萩だと思いこんでもしかたがないからである。