Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans
兄の立場
一
家ありて人は哀し
歓びは甘き忍従
憩いは恥じ知らぬ限り
家こそは愛と憎しみの嫡子
はた、夜と昼との落し子
恩恵の重荷に堪うるもの
ただ奉仕の鎖
威圧は熱風と吹き
沈黙は冷雨と注ぎ
ひそかに忍びよる功利の波は
巧まざる迎合の磯に打ち寄せ
みよ、強いられし笑いの後に来るもの
得々たる泣訴哀願
時に身振多き団欒の図はあれど
そは人形芝居、仮面劇
男女老若登場の道化一幕
あに、われひとりピエロたり得んや
扶養の義務とはなんぞ
これ善意の搾取にあらざれば
憤懣の去勢
人は人たることをやめて
ひたすら肉親の変化たらんとす
京野等志は、この詩のようなものを、三度繰り返して読んだ。他愛のない楽書のようでもあり、弟深志の痛切な叫びのようでもある。この幾行かの呪詛の文句を、彼は、味うともなく味つてみた。
兄の立場
一
それから数日後のことである。夕飯をすまして、いつ時雑談がつゞき、母の弓が風呂の加減を見て来いと姉娘の多津に言いつけていると、そこへのつそりと深志が帰つて来た。
「今日は早いんだなあ」
と、兄の等志は、ひやかし半分に言つた。毎晩十二時近くならなければ家の閾をまたがぬ習慣がちかごろついているからである。