Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

「さあ確り頼むぞよ。パカパカパカと景気よく、ご苦労ながら歩いてくれ。蹄の音に合わせてこそ、追分の値打ちが出るのだからな。乗せるお客も荷もねえが、あると思って歩いてくれ! ハイ、ハイ、ハイ」と声を掛け、自分は手綱を肩に掛け、土間を通って街道へ出た。

茫々と青い月の光、一路うねうねとかよっているのは、本街道の中仙道で、真っ直ぐに行けば江戸である。次の宿は沓掛宿で、わずか里程は一里三町、それをたどれば軽井沢、軽井沢まで二里八町、碓井峠の険しい道を、無事に越えれば阪本駅路、五里六町の里程であった。

西は追分、東は関所

関所越えれば、旅の空

咽ぶがような歌声が、月の光を水と見て、水の底から哀々と空に向かって澄み通る。甚三の流す追分であった。パカパカパカと蹄の音が街道を東へ通って行った。

「おおまた追分が聞こえるな」

いうと一緒に肩の鼓を膝の上へトンと置いた。「まるで競争でもするように、俺が鼓を打ちさえすれば、あの追分が聞こえて来る」

本陣油屋の下座敷、裏庭に向かった二十畳の部屋に、久しいまえから逗留している、江戸の二人の侍のうち、一人がこういうと微笑した。名は観世銀之丞、二十一歳の若盛りで、柔弱者と思われるほど、華奢な美しい男振りであった。