Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
男はびっくりして尋ねた。
「あたしを、配電室なんかへ、連れ込んだのが、失策だったわね」
「何ぜだ」
「あたし、電信記号を知っているのよ」
「畜生め、すると、今のあれが?」
「そうよS・O・Sよ。何千人という見物の中に、あの簡単な非常信号を読める人が、一人もいないって訳はないと思うのよ」
さっき彼女がスイッチを切ったりつないだりしたのは、無意味ないたずらでなくて、救助を求める信号であったのだ。場内全体の電燈が、パチパチと点滅してS・O・Sをくり返したのだ。
「小女郎の癖に、味をやったな。……だが、そんなことでへこたれる俺だと思うか」
もうぐずぐずしてはいられぬ。男はポケットから麻酔薬の容器を取出した、愈々最後の手段である。
「あたしを、どうしようっていうの」
文代は態と驚いて見せる。
「その可愛い舌の根をとめてやるのさ。貴様を身動きの出来ない人形にしてやるのさ」
男は容器から濡れた白布のかたまりを取出して、いきなり文代の口をふさごうとした。彼はそれが、とっくに贋物に変っているのを、少しも気附かぬのだ。
文代は、じっとしていても、別に危険はなかったのだけれど、この機会に男の顔を見てやろうと、烈しく抵抗を始めた。