Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
丁度その時、どこかで、ガチャンという音がしたかと思うと、棺が地震の様に揺れて、メリメリと板の割れる音がした。
いよいよ最後だ。生身の身体が、燃えさかる火の中へ落ち込んでチリチリ溶けてしまうのだ。オオ神様!……
ふと目を見開くと、だが、不思議なことに、彼女はまだ死んではいなかった。そればかりか、いつしかあの恐ろしい熱さも煙もなくなって、ポカリと開いた棺の上から、じっと彼女を見おろしている顔は、何と、三谷青年ではないか。
これが断末魔の幻覚ではないかと思うと、ゾッとした。
「倭文子さん、しっかりして下さい。僕です。こんなひどい目にあわせてしまって、実に申訳がありません」
聞きなれた三谷の声だ。懐しい恋人の顔だ。アア、幻覚ではない。救われたのだ。とうとう救われたのだ。
「警察の見張りがきびしくて、今の今まで、抜け出して来る機会がなかったのです。僕はどんなに、イライラしたでしょう。でも、やっと間に合って仕合わせでした」
「マア、三谷さん!」
倭文子は、ただ胸にせまって、泣くより外はなかった。
墓あばき
それから、どんなことがあったか。
倭文子と茂少年は三谷につれられて、ソッと火葬場を抜け出しどこかへ立去った。