Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lisez 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 314 caractères · 398 écrans
この時、井村はわざとらしく眉をひそめて、
「喧しい国侍ども、殺風景な歌ばかり歌いおるわ……そもそも、島原の投節、新町のまがき節、江戸の継節、これを三都の三名物という。今時は投節を面白く歌うて聞かせる芸子もなければ、それを聞いて欣ぶ客もない。あんなガサツな流行唄や、突拍子もない詩吟で、廓の風情も台なし、いよいよ世は末じゃて」
井村は柄にもない慷慨をして、ハハと笑い、
「さあ、これから拙者が、投節くずしというのを歌うて聞かせる――まあ、宇津木、そう固くならずに一杯飲め」
盃を兵馬の前につきつけた時、兵馬は、その盃を受けて井村の方に向き直り、
「井村、実は君に聞きたいことがある」
「何だ、改まって」
「貴殿の手に傷がある、その傷はどこで受けた、それが聞きたい」
「ナニ、この傷?」
盃を出す手先を、ずっと見られてしまったから、もう隠しても遅い。
「これは、ちょっとした怪我。稽古槍を受け損じた」
「それはいつわりだ」
兵馬は、一膝つめよせる。
「いつわりとは何だ」
井村は眼に角立てて、刀をそろそろ引き寄せる。
「稽古槍の怪我ではあるまい、真剣の創であろう!」
「なに! 真剣の創?」