Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lisez 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 314 caractères · 398 écrans
がそれだとあって、これを俗に甲籠山とも申します。御岳神社に納められたる、いま国宝の一つに数えられている紫裾濃の甲冑は、これも在来は日本武尊の御鎧と伝えられたもので、実は後宇多天皇の弘安四年に蒙古退治の御祈願に添えて奉納されたものだそうです。
さればこの山の神社に四年目毎に行わるる奉納の試合は関東武芸者の血を沸かすこと並々ならぬものがあります。八州の全部にわたり、なお信州、伊豆、甲州等の近国からも名ある剣客は続々と詰めかけ、武道熱心のものは奥州或いは西国から、わざわざ出て来るものもあるくらいで、いずれの剣士もみな免許以上のもの、一流一派を開くほどの人、その数ほとんど五百人に及び、既に数日前から山上三十六軒の御師の家に陣取って、手ぐすね引いて今日の日を待ち構えている有様です。
以上五百人のうち、試合の場に上るのは百二十人ほどで、拝殿の前の広庭には幔幕を張りめぐらし、席を左右に取って、早朝、宮司の式が厳かに済まされると、それより試合は始まります。
さても宇津木文之丞は、程なく山へ登って来て、いったん知合いの御師の家に立寄って、それから案内されて神前の広庭に出向き、西の詰から幔幕を潜って場へ出て見ると、もはやいずれの席もギッシリ剣士が詰め切って、衣紋の折目を正し、口を結び目を据えて物厳かに控えております。