Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lisez 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 120 caractères · 516 écrans
はじめて気のついた連中が、驚いて逃げ出したのを、梯子の上で米友は、じっとながめていたが何とも言いません。遠慮して、芸を中止して、このお通りになるものをお通し申して、それから再び芸を始めるのかと思うと、そうでもありません。
「さあ、これから梯子抜けというのをやって見せる……」
「控えろ!」
大名のお通りには頓着なく、米友が梯子抜けの芸当にとりかかろうとする時に、お供先の侍が、癇癪玉を破裂させたような声で、見物は、はっと胆をつぶしました。
大名のお供先は、米友を中心として、見物の一かたまりが思うように崩れないのが、よほど癪に触ったと見え、物をも言わずにそれを蹴散らしたから、見物のあわて方は非常なものでありました。
かわいそうに、そのあたりに夜店を出していたしるこ屋は、このあおりを食って、煮立てていた汁と、焼きかけていた餅を載せた屋台を、ひっくり返されてしまいます。沸騰っているしるこの鍋は宙に飛んで、それが煙花の落ちて来たように、亭主の頭から混乱した見物の頭上に落ちて来ましたから、それを被ったものは大火傷をして、
「アッ」
と言いながら頭や顔を押えて、苦しがって転がり廻りました。