Classiques japonais avec furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans
立秋という日が過ぎて、どれだけ私のパレットの色数に変化を来したか、それはまだはっきりとは現れない。ただ天地の間に何物かが一つ足りなくなって行く空白を、私の全身が感じるだけである。時に、甚だ冷たい風が心もち赤味を帯びた夕方の太陽の光に交って、木の下草の蔭へ吹きよせるだけである。すると、夏から用意されていた虫の子供が成人して、かすかなる音を立て初める位の変化を現す。私は深い秋より以上に、この新秋が来た天地の微かなる変化を愛する。
だが、健康の人はこれに元気を回復し、やがて来るべき朝寒むへの用心のために脂肪を蓄積するであろう。しかし、われわれ骨人はその立秋の変化にあたりて下痢を催し、骨人は断然百パーセントの骨へ近づく。
春の草は丈け短く、地にがっしりと腰を据えたるが多く、花は紅を基調とする。夏草は中等に伸び上り、花は白が基調である。秋の草は蔓を延ばし、ひょろひょろと細く、どこまでも高く、骨人や幽霊の類に配しては、全く気の毒なほどよく似合う背景となり、萩、桔梗、すすき、女郎花の類は怪談の装幀によろしく、その色彩もうす紫が地となっている。
『雨月物語』の中のいずれの章であったか、俺れが今度旅から帰るのは葛の葉の裏が白く風に翻るころだろうといった意味の文章があった。